独特の自閉症児教育システムが評判

武蔵野東学園の特徴と評判の実績!発達障害児教育等の取り組みを紹介

はじめに

武蔵野東学園は1964年に設立され、1965年に開園した武蔵野東幼稚園が始まりです。
開園当初に自閉症児を受け入れたことから育まれてきた独自の教育システムは、発達障害児(自閉症児)教育の先駆けとして国内外から注目されるほどの存在となりました。

ここでは、武蔵野東学園の独自の教育システムの詳細と、文部科学省委託事業や海外への姉妹校設立の実績を紹介します。
また、より深く実態を知ってもらうために学校関係者による評価も記述しました。

本記事が、武蔵野東学園への理解をいっそう深める資料の一つとなれば幸いです。

武蔵野東学園とは?

武蔵野東学園とは、東京都武蔵野市を拠点とする学校法人です。
1964年の武蔵野東幼稚園創設を皮切りに、幼稚園から小学校・中学校、そして高等専修学校まで、すべての施設において「武蔵野東」を冠する名称が付けられています。

設立当初に自閉症児を入園させたことがきっかけとなり、健常児との「混合教育」と「生活療法」という独自の教育システムを確立したことから、世界的にも注目されている学校法人です。

武蔵野東学園の教育理念と、学園の歩んできた歴史を紹介します。

教育理念

武蔵野東学園の教育理念は「自立教育」と「心の教育」を柱とします。

学校教育において学力の向上は大切ですが、あくまでも目標達成と社会自立のための手段に過ぎません。
他人を思いやれる豊かな心を持ち、精神的に自立していなければ社会に適応することができず、蓄えた知識は自己顕示欲を満たすだけの空疎なものとなるでしょう。

武蔵野東学園では、学力の向上だけでなく、豊かな心も育み、真に自立した人間となれるような教育を心掛けています。
そして「心の教育」と「自立教育」の実践のために、父兄と教師が緊密に連携できるような体制を整えています。

学園の歴史

武蔵野東学園は、1964年11月11日の武蔵野東幼稚園(現武蔵野東第一幼稚園)の創設からスタートしました。

創設者は北原勝平・キヨ夫妻であり、夫の勝平さんが初代理事長を務めます。初回の園児募集で5名の自閉症児を受け入れたことから、健常児と自閉症児の「混合教育」が始まりました。

以降、父兄のニーズの高まりと行政からの支援を受け、系列の施設を次々と設立します。

1976年には武蔵野東関前幼稚園(現武蔵野東第二幼稚園)、武蔵野東小学校が 認可され、学校法人武蔵野東学園へと名称を変更しました。
そして1983年の武蔵野東中学校、1986年の武蔵野東技能高等専修学校(現 武蔵野東高等専修学校)の開校によって、子どもたちが社会に旅立つまで見守れるような体制を整えます。

翌1987年には米国にボストン東スクールを開校し、自閉症児教育の先駆的学校施設として世界的に注目されるようになりました。
その後も就業訓練施設としてのチャレンジショップやグループホームを次々と開設し、事業を拡大していきます。2024年には60周年を迎えました。

武蔵野東学園が独自に行う自閉症児教育

武蔵野東学園の自閉症児教育は、自閉症児の「社会自立」を目標としているので、一般的な障害児教育とは大きく異なります。
その独自の教育システムの中核をなすのは「生活療法」と「集団教育」、そして「混合教育」です。

一方で、子どもの成長を見守るためには保護者と教師との連携も欠かせません。

ここでは、武蔵野東学園の独自の教育システムである「生活療法」「集団教育」「混合教育」と社会自立に向けた取り組み、保護者との連携体制について解説します。

自閉症児の社会自立に向けた生活療法

「生活療法」とは、日常生活を中心とした体力と心の育成、そして知的開発による指導法です。

つまり、人間は自らの日常生活をこなすだけの体力が必要であり、その体力が生活リズムを確立させて心を安定させます。
そして心が安定すれば、知的開発への好奇心と集中力も養われていくという考え方です。

したがって武蔵野東学園の「生活療法」は、できないことよりも、できることを見つけてその能力を伸ばすことに重点を置いています。
なぜなら、できることで自信を持つようになった自閉症児は、外部に関心を持つようになるからです。
できないことに関しては、徐々に生活に支障のないレベルまで習慣づけしていきます。

武蔵野東学園の自閉症児教育の中核をなす集団教育

自閉症児教育と言えばマンツーマンで行われるのが一般的でしたが、武蔵野東学園では自閉症児のみのクラス編成による「集団教育」に取り組んでいます。
その理由は、自分と同じような子どもがたくさんいることで、自閉症児それぞれの不安が和らぎ、周囲に関心を持つようになるからです。

子どもは、自分と同じような子どもに興味を持ち、真似をしようとします。
一人の自閉症児が教師の問いかけに応えたら、隣の子どもが真似をし、クラス全体に連鎖反応が起きるのです。
このような流れで子どもたちが影響し合い、集団での授業ができるようになっていきます。

自閉症児と健常児が同じ園舎で学ぶ混合教育

武蔵野東学園の代名詞とも言うべき特徴が、自閉症児と健常児が共に学ぶ「混合教育」です。
能力の異なる子どもへの同時教育は困難と言われていましたが、学校を学力向上だけでない社会自立に向けた育成の場とすると、これほどメリットの大きな教育システムはありません。

健常児は、自閉症児と触れ合うことで多様性を学び、その原体験は成長するにつれ大きな財産となります。

一方の自閉症児にとっては「集団教育」のクラスの発展形となり、子どもとしての関心が健常児へ向けられます。
つまり、健常児の影響を受けて真似をしたいと思う子どもも出てくるのです。

武蔵野東学園では、健常児と自閉症児が自然と交流できるように教室は交互に配置され、給食やイベントの団体競技は合同で行われています。

最終目標は社会自立の達成

武蔵野東学園の独自の教育システムは、子どもたちが社会自立できることを最終目標として構築されてきました。

子どもたちの社会自立に向けた取り組みは、幼稚園の入園当初から始まり、片付けや掃除の仕方を少しずつ覚えていきます。
成長と共に炊事・洗濯・買い物へと日常の営みが増え、やがて身だしなみや挨拶、電話応対などの社会ルールの習得へと展開していきます。

こうした社会適合教育は健常児・自閉症児を問いません。
同時進行で就労に関わる知識と技術の職業教育も行われ、子どもたちが一社会人として自立できる体制を整えます。

保護者と教師の連携も大きな特徴

武蔵野東学園では、教師と保護者が密に連絡を取れるような体制を整えています。なぜなら、家庭と学校の連携なくして子どもの成長を見守ることは、不可能と考えるからです。

家庭は生活リズムを確立していく場であり、学校は集団生活で起こりうる自閉症児の問題を解決へと導く場です。
しかし、ほとんどの保護者が自閉症児を育てるのは初体験であり、我が子への対応に四苦八苦します。

そんな中、経験豊富な教師のアドバイスが参考になるのは言うまでもありません。
一方、教師にとっても、対象児童の家庭での様子によってアプローチ方法が変わってきます。

家庭生活と学校生活は表裏一体であり、双方に欠けているものや必要な情報を補い合うために、情報交換が大切です。

そのため、武蔵野東学園では、保護者と教師の交流の機会が多く設けられています。

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